排水管の劣化原因はいろいろと考えられますが、それを確実に発見する手段というのは定期的な点検に頼る以外方法がありません。
わたしが担当する排水管の水漏れトラブルのなかでも、マンションなどで起きる階下への水漏れはかなり深刻な被害をもたらすケースが多いといえます。家財が水浸しになれば、そのほとんどが弁済の対象となるため、保険などに加入していないと高額の費用負担が突然起きてしまうからです。

都内のあるマンションの一室から連絡がありました。天井から水が垂れてくるというのです。現場へ行ってみると確かに天井に大きなシミが出来ており、壁つたいに水の跡が付いていました。急いで一つ上の階を尋ねましたが残念ながら留守中でしたので、緊急事態ということで大家さん経由で不動産管理会社に連絡が入り、解錠して室内に入ることになりました。

しかし実際に入ってみると、確かに留守ですが特に水回りでトラブルが発生している感じではありません。トイレ、台所、お風呂と見て回りましたが、やはり一見問題なさそうです。ただし、お風呂近くの脱衣場のすぐそばにある洗濯機付近には、大量のタオルの洗濯物が溜まっていました。聞けば若い女性の独り暮らしとのことですが、明らかにタオルだけが多すぎるようです。これは「なにかを拭くのに大量のタオルを使った」と考えるべきでしょう。そこで洗濯機の排水管のすぐそばに家庭用の小型ポンプがあるのを見つけたのです。

実はこのマンションの部屋、洗濯機の位置に排水管がないため、洗濯機の排水をお風呂場へ直接流していたのでした。ポンプは逆にお風呂場の残り湯をくみ上げて、選択に利用するためのものだったのです。ところがお風呂場まで延長した排水管の接合部分が外れてしまい、水を床にぶちまけてしまったのでしょう。それが昨夜のことで、綺麗に拭きとったつもりでも、床にしみ込んだ水が次の日になって階下に漏れだしたということだったのです。